第45章 #45 すれ違い
海から壁内へ戻り数日後、壁内では今後の事が話し合われていた。
会議室にはハンジやリヴァイ、リリア、調査兵団の主力となるメンバーが集められている。
ウォール・マリア奪還戦で多くの兵士を失った調査兵団は主力となる兵士が僅かしかいない。
新兵らの育成も急がれるところだが、そこはキースにこれからも任せる事とした。
「まずは敵の脅威をどうにかしないと行けない。我々は今後海岸に潜みマーレの者が潜入してこないかを見張る。もしこのパラディ島に上陸してきた場合は捕虜として捕まえ、情報を探りたい」
ハンジの話を聞いている調査兵達は皆、不安気な顏をしている。
「それと軍事力の向上だ。調査兵団は更なる訓練を積み、敵からの脅威に備えてもらうよ。今後は巨人ではなく、相手は人間になる。その事をよく頭に入れておいてほしい」
そう、今後戦う事になる相手は人間だ。
しかもエレンの話によると、マーレという国とパラディ島の技術力の差はかなりあるらしい。
今のままでは到底敵わない。
中央憲兵が開発していた対人立体機動装置、あれも現在さらに改良されているらしい。
いずれはそれを使いこなさなくてはならなくなるだろう。
それまでは今までの対人立体機動装置で訓練をするように、とハンジから伝えられた。
リリアが息を吐き、今はもうない左腕にそっと触れた。
自分が一番、使えない兵士かもしれない。
やはり体が不自由なのはかなり不利だ。
「リリア、どうした?」
「いや、別に…」
隣に座っていたリヴァイが、少し元気のないリリアに声を掛けたが、リリアは一言返すだけだった。
この時位からだった。リリアとリヴァイにすれ違いが出来始めたのは。