第44章 #44 海へ
砂の山を完成させたリリアは満足そうにパンパンと山を叩いた。
「リヴァイ、そっちから掘ってー!トンネル!!」
「あぁ?」
「壊さないようにソッとね!」
山を挟みリリアがトンネルを掘り始める。
リヴァイは座ったまま仕方なさげに片手でトンネルを掘り始めた。見るからにやる気はない。
暫くすると指先にゴソゴソと気配を感じ、反対側から掘っていたリリアの手とぶつかった。
「あっ!開通〜!!」
リヴァイの手の存在を確認したリリアがその手をトンネル内でギュッと握る。
「へへへ!リヴァイ捕まえた!!」
楽しそうに笑うリリアに、リヴァイはスッと顔を逸らしてしまった。
その行動にリリアが焦る。
(あわわ……子供すぎてリヴァイに呆れられた!!)
違う。
リリアが可愛すぎてまともに見れないだけだ。
「うわぁぁん!リヴァイごめんなさい〜!!子供染みててごめんなさい〜!!」
「……」
するとリヴァイはトンネルの中でリリアの手を角度を変えて握り直し、そのまま垂直に上にあげた。
無惨に砂山が破壊される。
「あぁぁぁ!!私の砂山ぁぁぁ!!!」
と同時にリヴァイがリリアに抱き付き砂浜に押し倒した。
それを見ていたアルミンとコニーが、あっ、と声を漏らす。
「あれはリヴァイ兵長ここでリリア兵長襲わねぇ?」
「た、大変だ!ハンジさん!!」
「ははは!!大丈夫だよ!リリアが可愛すぎて抱きしめたいだけさ、リヴァイはつい最近ようやくリリアにキス出来た恋愛お子ちゃまだから、そんな勇気はまだないよ」
「「は?」」
よっこらしょ、とハンジが立ち上がり二人に向かって叫んだ。
「オーイ!!そこのバカップル!!!そろそろご飯だから戻っておいでー!!」
「ハンジー!!助けて!!リヴァイが固めてくるー!!」
「技かけてんのかよ…」
そして次の日、調査兵団は無事に壁内へと帰還、壁外の安全性と海の存在を確認、今後どう外の国からの脅威に備えるか考えていかねばならない。
戦いは終わらない、むしろこれから起こるであろう"人"との戦いに、力のない我々が抗うのか。
問題は山積みだった。