第42章 #42 お帰りなさい
トロスト区からシガンシナ区へと向かい出発した調査兵団、衛生兵、応援の憲兵団、駐屯兵団達。
まだ巨人が絶対に出ないとは言い切れないため、先頭と最後尾で調査兵団が付き目的地へと向かっていた。
するとシガンシナ区が目に見えてきた所で先頭を走っていたハンジが馬を止めた。
そう、そこは獣の巨人を仕留める為に特攻した場所、兵士達や馬の亡骸が散乱している。
その数はとても多く、生き残った調査兵達以外は皆息を飲んだ。
「ではここで分かれよう。区外を担当する兵士達は衛生兵の指示をよく聞いて行動を開始、遺品や火葬後の遺骨は遺族に届けるために必ず誰かが分かるようにしてくれ。区内の部隊はこのまま私に着いて来るように!」
リリアは馬から降りた。自分は区外の担当だからだ。
するとリヴァイがリリアの元に馬を寄せて近付いてきた。リヴァイは区内の担当だ。
「リヴァイ……あの…お兄ちゃんをよろしくお願いします」
「あぁ。ちゃんと迎えに行ってくる。ナイル」
リヴァイがリリアの後ろにいたナイルを呼ぶ。
ナイルはリリアの状態が不安定にならないよう心配し、自分も今回の作戦に参加した。
本当はリリアも区内の部隊に入りたかったのだが、エルヴィンの遺体と対面するのはあまりにも酷だとハンジがそれだけはダメだと反対した。
「リリアを頼む」
「あぁ」
区内部隊を見送り、リリアは布を口周りに巻き手袋を装着し辺りを見渡した。
そして深く頭を下げる。
それを見ていたフロックがつらそうな顔をした。
ここにいる彼らはリヴァイの奇襲を成功させるため、囮のリリアを獣の巨人まで届けて散った。
フロックもその一人だ。自分以外は全員死に、囮であるリリアも生き残った。
その心は複雑だ。