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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第6章 #06 新兵勧誘式



陽が落ち始めた頃、新兵勧誘式の準備が着々と進んでいた。
エルヴィンが到着すると、リリアが敬礼をして出迎える。

「団長、もう少しで準備が整います」
「ご苦労だった」

エルヴィンが微笑むとリリアも柔らかく笑い返し、エルヴィンを待機する部屋に連れて行こうとした。
その時、リリアの後方から誰かが声をかけた。声の主は先程合流すると言っていたペトラだ。

「リリア兵長!お疲れ様です」

リリアは振り返るとペトラに向かって手を振った。
エルヴィンも同時に振り返り、ペトラと目が合うと彼女は慌てて敬礼をした。
まさか一緒にいるのがエルヴィンと分からなかったようだ。


「団長、リヴァイ班のペトラ・ラル」
「あぁ、こうして話すのは初めてか。リリアが世話になっている」

ペトラが目を見開いた。
まさかエルヴィンにそんな会話をされるとは思いもしなかった。

「え?あ、いえ!!そんな!!こちらこそ!!っえ?」
「団長っ!ちょっと!!ペトラごめんね?ほら、ペトラがビックリしてるじゃない!」

軽くリリアがエルヴィンの体を叩く。

「お前が自分の性格を隠さないと決めた仲間だろう?兄として挨拶を……」
「いいから!」
「こんな妹だがどうか仲良くしてやってくれ」
「お兄ちゃん!!入って!」

エルヴィンを待機室に押し込むとリリアは顔を真っ赤にしてペトラを見た。

おそらくエルヴィンは部屋の中で笑っているに違いない。
わざとやっているのだから。

プッとペトラが噴き出す。

「ご、ごめん……なんか…」
「ふふふ、いえ!何だか可愛らしくて。エルヴィン団長も普通の人なんですね」
「普通だよ、普段はね」

リリアとペトラは少しその場から離れ、端に置かれている箱に腰掛けた。

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