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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第39章 #39 一歩前へ



王都の式典会場に着くと、既に多くの兵士達が雑談をして時間を待っていた。
馬車から降りたリリアは足取り重くリヴァイの後ろに付いて歩いた。
周りの者達の視線が痛い、多くはエルヴィンを失った哀れみの目。

しだいに呼吸が荒くなり冷や汗が流れてきた。

「リ…リヴァイ」

振り返ると真っ青な顔をしたリリアが足を前に出せずにいる。

「大丈夫か?」
「…ごめん……先に行って。私、ゆっくり後から行く…」
「気にするな」

リリアの手を引き壁側に寄ると背中を優しく摩った。
申し訳なさで悲しくなる。
暫くすると落ち着き、二人は歩き出し、ゆっくり、ゆっくりとリヴァイはリリアの歩調に合わせてくれた。



先に到着していたリヴァイ班のメンバー、遠くに見えるリヴァイの姿を確認し固まった。正しくはその後ろの人物を目にして。
コニーが視線を逸らさないまま口を開く。

「なぁ……あのリヴァイ兵長の後ろにいるの…誰だ?」
「多分…いや、それしかあり得ねぇけど…リリア兵長…だよな」

ジャンが答える。
久し振りに見たリリアの姿に皆ショックを受けていた。
この数週間であんなにも痩せ細り、髪の色が抜けるとは。
どれだけ彼女にとって精神的にツラかったのかが目に見えて分かる。

「僕の…せいだ…」
「アルミン?」
「僕が……生きたから……」
「んな訳ねぇよ!!リリア兵長はそんなの気にしてねぇよ!」

エレンがアルミンの肩を掴む。
しかしアルミンの表情は晴れる事はない。
絶対に気にしてないなんて事はないからだ、そうじゃないとあんな姿にはならない。

「でもリリア兵長、勲章辞退ってハンジさんが言ってましたよ?」
「え?」

サシャの言葉に皆が目を丸くした。
彼女の働きがあったからこそ、エルヴィンの作戦が成功したと言っても過言ではないのに。

「いらないらしいです」

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