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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第36章 #36 生きろ!



「聞いたぞ、リヴァイとあまり仲良くしてないみたいだな」
「……」
「リリアちゃんをあんなに大事に思ってくれてるのに…どうした?」

ナイルもハンジと似たような事を言ってくる、とリリアは眉をひそめ、ナイルの手を取り文字を書き始めた。


『嘘をついた』
「嘘?」
『お兄ちゃんに注射を打つと嘘をついた。打つ気がなかったのなら最初からそう言ってくれた方が良かった。期待させるだけさせて突き落とされて』

ふむ、とナイルは考えた。

「本当にそうなのかな。俺はリヴァイの奴は最初エルヴィンに打つ気だったんじゃないかと思うよ?」

え、という表情でリリアがナイルを見つめる。

「あれだけ信頼し合っていた仲だ、エルヴィンには生きて欲しかっただろう。それにこの先エルヴィンの方が人類を生かせると分かっていた筈だろうし。おそらく注射を打つ直前にそれを覆す何かがあったんじゃないか?」
『何かって?』
「それはリヴァイにしか分からないが……エルヴィンを生かさない選択をする何か…。ただこれだけは言える、リヴァイはエルヴィンを信頼していた。生きてほしかった筈だ、絶対に最初からリリアちゃんに嘘をつこうと思ってはいなかったと思う」


リリアは俯いた。

ならば一体何があったというのだろう。
もう悪魔と言わせない、夢に囚われないようエルヴィンのためを思い、生かさない選択をしたのはリリアも理解をしているが、リヴァイにそれを決意させた直前のエルヴィンの行動とは何だったのか。

それはリヴァイにしか分からない。


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