• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第35章 #35 さようなら



するとアルミンは思い出したかのように辺りを見渡した。
どうした?とエレンが声をかける。

「あの……リリア兵長は…!?」
「……あっちだ」

指さされた方を見ると、辺りを警戒し見渡しているフロックの側にリリアは寝かされていた。
するとリヴァイがアルミンを見ながら口を開く。

「お前は落ち着くまでリリアに近付くな。下手すると殺されるぞ」
「えっ?」
「大変だったんだぞリリア兵長。エルヴィン団長を亡くしたせいで心が壊れちまったみたいだ。リヴァイ兵長襲うし、壁から飛び降りようとするし…」

ジャンが頭を抱える。

「そんな……」
「腕がなくなっちまったが、戦闘能力は落ちてねぇ。加えて遠慮なく襲ってくるからな。特に今の状況でアルミンを目にしたら確実に殺しにくるぞ」

アルミンは再び俯いた。
大事な兄は生き残れず、選ばれた自分が目に入ったらリリアはおそらく動揺するだろう。
そしてまた暴れかねない。


「だがなアルミン、リリアはちゃんと分かっている。心がついて行かないだけだ。時間が経てば大丈夫だろう。だから暫くは近付くな」
「……分かりました」

「さて、アルミンも問題ないならそろそろ行こうか。私とリヴァイ、エレンとミカサで調査に向かう。他の4人はシガンシナ区壁上で四方から見張ってくれ」

「はい!」

「エレン、鍵は無くしてないかい」
「はい、ここに」

エレンは首に掛けている地下室の鍵を服の上からギュッと握った。
ようやく地下室へ行ける、父親が見せようとしていたあの地下室へ。

真実が隠されているあの場所へ……



「リリアの事は頼んだぞ。決して目を離すな」
「了解です」

リヴァイはリリアの方へ歩むと膝をつき、頬を撫でた。


「リリア行ってくる。お前ら兄妹が一番行きたかった…地下室に…」



/ 1014ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp