第35章 #35 さようなら
リリアは目を疑った。
目の前にいるのは巨人化したアルミン。
どうしてなのか、エルヴィンに注射を打ったのなら、今ベルトルトを喰っているのはエルヴィンの筈では?
リリアを支えていたジャンを振り切ると、リリアはリヴァイの元に向かった。
そこには既にハンジとフロックの姿、そして巨人化していないエルヴィンの体もそのままそこにあった。
皆がリリアを見つめる。
するとフロックがゆっくりと口を開く。
「兵長…どうして…ですか」
「こいつを許してやってくれないか。コイツは悪魔になるしかなかった。それを望んだのは俺達だ。その上、一度は地獄から解放されたコイツを再び地獄に呼び戻そうとした。だがもう……休ませてやらねぇと」
ハンジがエルヴィンの目を開き、瞳孔を確認している。
「エルヴィン…獣を仕留める約束だが…まだ先になりそうだ」
「もう……死んだよ」
「そうか………」
フラフラとリリアが近付き、エルヴィンの前で膝をついた。
目からは涙が溢れボロボロと流れている。
リリアは優しくエルヴィンの頬を支えた。
「お兄ちゃん……?お兄ちゃん……起きて…起きてよ…ねぇ!!起きて!!目を開けて!!」
「リリア!やめなさい」
ハンジが止めるがリリアは止まらない。