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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第34章 #34 決断



『ん?』

獣の巨人は前方から来る騎馬隊を視界に入れた。

「突撃ーーー!!!」
「うおぉぉぉぉ!!!!!」

皆叫びながら獣の巨人へと向かって行く。
死への恐怖と戦いながら、前へ前へ。

『ま、このまま終わるとは思ってなかったけど、特攻か。もうちょっと何かあると思ったんだけどな』

獣の巨人は足元にある岩を掴むと、突撃してくる兵士達に向かって構えた。
それを見たエルヴィンが声を上げる。


「今だ!!撃てぇぇぇ!!!」


エルヴィンの号令と共に上げられた信煙弾、これから投げられるであろう投石の命中率を少しでも下げられれば。
しかし獣の巨人は特に気にしてはいないようだ。

『煙?あぁ、信号を送るってやつか』

獣は石を投げる構えをした。

「来るぞ!動け!!!」

調査兵達は散らばり、獣の巨人へと向かって走り続ける。

「兵士よ怒れ!兵士よ叫べ!!兵士よ戦えーーー!!!」


エルヴィンは鼓舞した。



進め、進め、前へと進め
叫べ、戦え

我々の命をかけ
生者へと繋げ



「っ!!」

そしてついに投げられた岩は先頭を走っていたエルヴィンの左の腹を直撃した。
落馬し、地面に叩き付けられ、エルヴィンは他の兵士達の背中を見送った。

「団長が!!」
「振り返るな!!リリア兵長を絶対獣の巨人まで到達させるんだ!!進めぇぇぇ!!!!」

マルロが声を上げ、他の兵士達も叫びさらに前進する。

エルヴィンは薄れる意識の中、最後尾を走っていたリリアの後ろ姿を視界に入れた。もちろんリリアもエルヴィンが投石に当たった事は分かっていた。

本当は今すぐにでも駆け寄りたい、助けたい。

だがここで立ち止まるわけにはいかないのだ。
これがエルヴィンの選んだ道、ならば必ず獣の巨人を討ち取らなければならない。


(リリア……リヴァイ……どうか……)


ゆっくり視界が暗くなり、エルヴィンは意識を手放した。


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