第33章 #33 心臓を捧げよ
「俺の最後のワガママだ。リリアは死なせない」
「……」
エルヴィンは視線を下げた。
「しかし俺が死んだ後のリリアの事は心配でならない。リヴァイ……あの子は本当は凄く寂しがりやで、孤独が怖くて、泣き虫で、とても心が折れやすい子だ」
「……知ってる。だがお前だって死なねぇかもしれないだろ。俺に任せずテメェが意地でも生き残れよ」
「あぁ、出来れば二人無事に帰りたい、リリアとした約束もあるしな」
叶えたいさ、俺だって……
「だがそれが無理な場合の事も考えておかないといけない」
「……」
「リヴァイ、お前に"最後"の命令だ」
エルヴィンはリヴァイを真っ直ぐ見つめた。
「リリアを頼む、あの子の命尽きるまで…」
「………了解した」
安心したように微笑むエルヴィン。
しかしリヴァイは俯いたままだ。なんともツライ命令だ。
本当ならエルヴィン自身がリリアを守ってやりたいだろう、幸せにしてやりたいだろう。
それを他の男に託すのだから。
「……俺はお前なら閉じたリリアの心を開かせられると思ってはいるが、もし、お前の言葉も聞かない状態になったらこう伝えてくれないか?」
リヴァイは顔を上げた。
「 」
フッとエルヴィンが笑う。
「知ってるだろ?あの子は俺の言う事は聞くんだ」
「…………やっぱりお前は策士だな」