第33章 #33 心臓を捧げよ
ベルトルトを投げ入れた後、今まで動く事のなかった獣の巨人、しかしついに動きを見せ始めた。
足元にある岩を拾い上げ細かくし、こちらに向かって投げ飛ばしてくる。
前線で戦っていた兵士達はその投石によって一気にやられてしまった。
「っ?!団長!!獣がっ!!!」
「前方より砲撃っ!!総員!物影に伏せろぉぉ!!」
救援に向かおうとしたリヴァイの姿を見つけたリリアは叫んだ。
「リヴァイっ!!!行っちゃダメ!!!隠れてっ!!」
そして再び獣から投げられた投石によって、おそらく前線の兵士達は全滅した。
エルヴィンは信じられないとばかりに、その光景を見つめていた。
物影に隠れ無事だったリヴァイは、馬を守っている新兵達の元へ向かった。
「巨人から投石だ!!」
「リヴァイ兵長!!」
「全員馬を連れて壁側に後退しろ!急げっ!!射線の死角を移動しろ!!」
すると新兵とリヴァイの元にエルヴィンとリリアが降りてきた。
リヴァイがエルヴィンに近付く。
「状況は?」
「最悪だ。奴の投石で前方の家はあらかた消し飛んだ。あの投石が続けばここもすぐ更地になり我々が身を隠す場所はなくなる」
「壁の向こう側には逃げられそうにないのか?」
「あぁ、超大型巨人がこちらに迫ってきている。炎をそこら中に撒き散らしながらな」
「ハンジ達はどうなってる、エレンは無事か」
「分からない。だが大半はあの爆風に巻き込まれたようだ。我々は甚大な被害を受けている」
獣の巨人は兵士が前方の一箇所に集まるように小型の巨人を操作していたのだ。
そこで小型の巨人を相手にしていたディルク、マレーネ、クラース班は先程の投石で全滅した。
「つまり内門側の残存兵力は、新米調査兵士の君達と、リヴァイ兵士長、リリア兵士長、そして私だ」
話している間も投石は続く。
兵士達は怖がり、悲鳴をあげていた。