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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第5章 #05 殺された被検体



ソニーとビーンの様子を見に実験場へと向かうと、数人の兵士とハンジ班の副隊長であるモブリットが見張りをしていた。
リリアを視界に入れたモブリットが敬礼をするとリリアは手を振り彼の横について二体の巨人を見上げた。

「どう?」
「特に異常はないですね。今は二体とも大人しくしています」
「まさかあの状況で捕獲するとはね…ハンジの探究心凄いね!」
「あはは……ところで分隊長は?」
「今はリヴァイ班の所に。エレンに巨人の話をしているよ」

モブリットは困ったように頭を掻いていた。
付き合わされるエレンに申し訳なさを感じているのだろうか。
ハンジの話は本当に長い。

「きっと朝まで続きますよ…」
「だろうね」
「すみません……」
「エレンに言ってよー」

あはは、とリリアは笑った。
するとモブリットがリリアの顔をじっと見つめ、それに気付きリリアが首を傾げる。

「なぁに?」
「いえ、ご機嫌です?」
「普通だよ?」

そうですか、とモブリットは再び巨人の方を見た。
暫く二人共巨人をジッと見ていたがモブリットが先に口を開いた。

「今のリリア兵長、とても話しやすいです」
「ん?」
「今日は一段と物腰柔らかくて……」

ハッとモブリットは我に帰ったように目を見開くとリリアの方を見て両手をブンブンと振った。
ふと出た言葉が自分でも予想していなかった言葉のようで、かなり焦っている。

「あの!!いや、変な意味はなく!!」
「今までの方がいい?」
「いえ!!その……今までは分隊長やリヴァイ兵長、エルヴィン団長にしかそのように話してくれなかったですから…あの……こうして気軽に声をかけてくださるのはとても嬉しいです」
「やっぱり急に変えるとみんな抵抗が……」

「俺は好きですよ!!」

一瞬モブリットが固まる。
今、とんでも無く誤解を与える言葉を言ったような気がする。

「いや!!違うんです!その!」
「あはは、分かってるよ!ありがとう」
「……凄く遠い人だと思っていたので、ちょっと分隊長が羨ましかったりしました」

そっか、とリリアがモブリットを見ると、彼は顔を真っ赤にしたまま巨人を見上げていた。

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