第4章 #04 本当の性格
空はオレンジ色に染まり、窓から夕日が差していた。
団長室には分隊長であるミケとリリアがいた。
ミケは窓から外を見つめ、リリアはエルヴィンが作っている陣形の紙を横から眺めている。
「30日後に兵站拠点作りの壁外遠征か。それも今期卒業の新兵を交える、と」
「入団する新兵がいればな」
エルヴィンは陣形の書かれた紙に線を引きながらミケの言葉に返事をした。
次の壁外調査に新兵を連れて行くというエルヴィンの作戦に、まだ経験の浅い新兵を使うのはあまり得策とは言えない。
「いずれにしろ、俺にはいささか早急にすぎると思えるが」
「エレンの現在の処遇はあくまでも一時的なものだ。可及的速やかに彼が人類に利する存在だと中央に示す必要がある。でなければいつまた憲兵団辺りが横槍を入れて…」
「俺にも建前を使うのか?エルヴィン」
エルヴィンは言葉を止めてミケを見た。
きっとミケはエルヴィンが本当に考えている事が何なのか、何となくだが分かっているのだろう。
それを隠されては付き合いの長いミケもあまりいい気分ではない、それはエルヴィンもよく分かっている。
「相変わらず鼻が効くな、ミケ」
「だがお前ほどには効かない」
エルヴィンはフッと笑い、再び正面に向かい直した。
「時期が来れば話す」
そうか、とミケは窓際から離れ、リリアの額をピンっと小突くと部屋を後にした。
リリアが額をさすりながらエルヴィンを見る。