第24章 #24 大事な兄ふたり
「ねぇ?」
「ん?」
お酒の入った瓶を二つ持ち、リリアはエルヴィンに問いかけた。
何やらこの二つのお酒のどちらが良いか悩んでいるようだ。
「ナイル兄ちゃんってどんなお酒が好き?」
「ナイル?」
何故ここでナイルの名前がででくるのだろうか、エルヴィンは首を傾げた。
「酒なら何でも嗜むだろうが、ワインなら特に飲むんじゃないか?」
「ワイン!じゃあこっちにしよう」
持っていた一つのお酒を机に置き、ワインの方を袋に入れる。
ナイルにあげるつもりなのだろうか、エルヴィンはジッとリリアを見つめていた。
「どうするんだ?」
「これナイル兄ちゃんにあげるの!今回の事で心配かけたちゃったからお詫びとお礼」
「そうか……」
「お兄ちゃんも行く?」
「行かない」
即答だ、行きそうにないとは思ったがここまでとは。
いつからだろう、エルヴィンとナイルが少しギスギスしたような関係になったのは。
昔はこんな事なかったのに、今は互いの間に溝があるみたいだ。
ナイルはエルヴィンが調査兵団に入ってからなかなか家に戻ってこれない間リリアの様子を見によく家に来てくれていた。
それはナイルが憲兵団に入ったから出来た事だろう、いつからだったか結婚し、妻のマリーと来てくれたりした時もあった。
文字や勉強を教えてくれたのも殆どが二人からだ。
だからリリアはドーク夫妻にとても感謝している。
「じゃあ行ってくるね」
「あぁ、用が済んだら早く戻りなさい」
「……はい」
怒ってはいないが微妙に不機嫌だ。
意味が分からない。