第23章 #23 誤魔化せない想い
まだ日が昇る前の早朝、リリアが目を覚ますとそこにエルヴィンはいなかった。
リリアが眠った後に自分の部屋に戻ったのだろう。
「……困らせちゃったかな…」
精神的に落ち着き昨晩の甘えを少し反省したリリア、エルヴィンの困った顔が頭に残っている。
いくら兄とはいえ、自分の事を想っていると言われたとはいえ、確かに自分の甘え度合いが異常だとは分かっている。
「うぅ……弱い………でも切り替えなくちゃ!」
ショックな事があったが、今はそんな事を考えている場合ではない。
ロッド・レイス巨人を討伐しなければならないのだから。
着替えを終え、オルブド区の壁の上に向かうと既にエルヴィンや他の兵士達が集まっていた。
勿論、その中にはリヴァイもいる。
リリアに気付いたリヴァイ、その瞬間リリアの肩がビクリと跳ね、フイッと視線をそらした。
明らかに怯えている、自業自得とはいえリヴァイはかなりショックだ。
リヴァイを見ないように通り過ぎるとリリアはエルヴィンの隣に付きマントをギュッと握った。
「リリア?」
「遅れてすみません…」
「大丈夫だ。体調はいいのか?」
「はい」
リリアも皆と共に巨人を確認した。
かなりの大きさの巨人、ベルトルトの超大型巨人よりも大きい。
報告によればエレンをヒストリアに喰わせようと、ヒストリアの父親ロッド・レイスが彼女を巨人にしようと薬を注射しようとしたようだがヒストリアがそれを拒否、地面に溢れたその薬をレイス卿が口にしこのような姿になったそうだ。