第22章 #22 素直になれない
エルヴィンがリリアの部屋に戻るとリリアは泣き疲れたのか眠っていた。
優しく頬を撫でるとゆっくりリリアが目を開ける。
「すまない、起こしたな」
「……お兄ちゃん」
目を擦りながら起き上がりエルヴィンに向かって両手を伸ばす。
昔からの抱っこをしてほしい合図だ、エルヴィンは小さく笑うと片腕でリリアを抱き上げた。
「もう大人なんだから、抱っこは無しだろう?」
「やだ……」
エルヴィンの首に腕を回しギュウっと抱き付くリリア、エルヴィンはベッドにそのまま腰を下ろすとポンポンと背中を定期的に叩いた。
「リヴァイまだ怒ってた?」
「いいや、怒っていない。腕は?大丈夫か?」
「痛い…でも平気」
「明日は早いから寝なさい。俺も少ししたら休むよ」
リリアをベッドに寝かすと名残惜しいのか再び手を伸ばす。
しかしその手は取らずに頭を撫でた。
「おやすみ」
「お兄ちゃん……一緒にいて。寂しいよ」
「ダメだ。一人で寝なさい。また明日」
「嫌だ…お兄ちゃん…お兄ちゃん…!」
起き上がりエルヴィンにしがみつくリリア、エルヴィンは困った顔をした。
今は精神的に参っているとはいえリリアの年齢でここまで甘えたがるのはかなり依存している証拠だ。
もし自分が側にいられなくなった事を考えると、この子はちゃんと生きていけるだろうか。
精神的に潰れてしまいそうだ。
しかしそう思いながらも手離せない自分がいる。
リリアを女性と意識しているのもリリアの甘えを受け入れてしまう厄介な感情だ。
(これはリリアよりも先には死ねないな…)
「眠るまでいるから」
「うん……」
再びリリアを横にするとエルヴィンは優しく頬にキスをした。
ゆっくり瞼を閉じるリリア、エルヴィンは彼女が眠るまで手を握っていた。