第21章 #21 王政奪還
暗闇の中、草をかき分けながら近付いてくる二つの人影、木に隠れながらリヴァイはその人影を睨んだ。
顔が見える位置でその人影が被っていたフードを外すと、二人がハンジとモブリットだというのが分かった。
ハンジがリヴァイに街で配られた新聞をリヴァイに渡すと、それを後ろからリヴァイ班の皆が覗き込む。
新聞にはクーデターの事、王が偽物だった事も全てが書いてあった。
「という訳でクーデターは成功、王都も行政区もザックレー総統が仮り押さえ中だ。今のところ貴族達の反乱は起きていない」
「でもリーブス会長の件は?リリア兵長が殺人の容疑をかけられたって」
「あれが濡れ衣だって証言は取れたからね、息子のフレーゲルが奮闘してくれてるよ」
ハンジの言葉にアルミンが胸を撫で下ろす。
「それに書かれている通り、冤罪だって事や王政側の圧力、フリッツ王が偽物だって事までバッチリだ。君達についても正当防衛って事でつまり、我々は自由の身だ!!」
「わぁぁぁぁ!!!!!」
皆が飛び跳ねて喜び、リヴァイも深く息を吐いた。
少しだけだが肩の力が抜けたようだ。
「とんだ大博打だったな」
「あぁ、でもエルヴィン達だけじゃない。一人ひとりの選択が世界を変えたんだ」
「お前から預かった3人も死なせてしまったな、すまない」
リヴァイの謝罪にハンジは小さく苦笑いを返した。
「リリアは無事か?」
「さぁ、分からない。話によるとリーブス会長の件で捕まり、かなり酷い尋問を受けていたらしいけど。死んだ云々の話は出ていないよ」
「………そうか」
空を見上げると星が出ていた。
リヴァイ達はまだまだ帰れそうにない、エレンとヒストリアを見つけ出し連れて帰らなければならないのだ。