第19章 #19 死線を越えろ
「エルヴィン団長!中央憲兵が団長とリリア兵長に出頭を命じてます!組織殺人の容疑だと騒いでます。それも街のど真ん中で!しかもリリア兵長に至っては実行犯の殺人容疑だと…」
ハンジとモブリットが目を見開き驚くが、エルヴィンとリリアは落ち着いていた。
やはりエルヴィンとその身内を潰しにかかってきた。
予想通りだ。
「敵もただ手を小招いているばかりではないようだ。ハンジ、ここから離れろ」
「はぁ?どうするつもりなの?」
エルヴィンは掛けられた上着を羽織り、リリアがエルヴィンの上着を整え、ベルトをしめる。
「俺は調査兵団の表の顔を通す。お前は自分の判断に従って動け。何より、次の調査兵団団長は、ハンジ・ゾエ、お前だ」
突然の任命発言にハンジは開いた口が塞がらない。
今、何と言った?
「調査兵団を任せたぞ」
エルヴィンとリリアは部屋を出た。
しばらく歩きエルヴィンが足を止めリリアの方を振り向く。
「リリア、覚悟はいいな」
「はい」
本番はここから。
壁の秘密を解き明かすこの一歩、必ず成功させなければならないのだ。