• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第18章 #18 動き出した王政



数日後、エルヴィンの部屋にエレンの硬質化の実験の失敗の報告をしにきたリヴァイが訪れていた。
なかなか実験は上手くいかないらしい。

「そうか、今回も失敗か。上手くいけば1日足らずでシガンシナ区に空いた穴を塞げるという事だったが」
「なにしろ情報がない。硬質化の方法について教科書でもあれば別だが。あとはクリスタ…いや、ヒストリア・レイス、アイツから壁についての情報を辿るか」

「彼女が話した生い立ちについての報告は読んだ。貴族、レイス卿の隠し子、確かに不幸ではあったらしい」


リヴァイからの報告によると、ヒストリアは貴族で、レイス卿の隠し子だったらしい。しかしエルヴィンはどうしてただの地方貴族である者が、壁の秘密を知る事が出来たのかが分からなかった。
何か理由があるはず。

エルヴィンは小さく息を吐いた。


「引き続き頼む」
「あぁ。ところでリリアはどうした?あのブラコンがお前の所にいないのは珍しいな。実験にも参加しに来なかったが」

リリアの姿がこの日はなかった。
いつもならエルヴィンから離れる事は何か用事がない限りは無い。
今日は特に任務もない筈だった。

「リリアなら部屋で寝ている。具合が悪いらしい。何か用か?」
「……別に。あまり良くなってないのか」
「いや、具合の悪くなる頻度は落ちている。このまま落ち着いてくれればいいのだが」

リリアは女型捕獲作戦後から具合が悪くなる事が多くなった。
頭痛や眩暈がたまにあるらしく、最近では休息をとる事が増えた。
そうか、とリヴァイは立ち上がり部屋を出ようとドアの近くに行くと、エルヴィンの方を向き直した。

「……アイツは部屋の鍵を掛けない。俺はもう戻るから、ちゃんと見とけよ」

そしてバンっと少し荒々しくドアを閉めた。
最初はまさか女であるリリアが鍵も閉めないのはないだろうと思い気にしないでいたエルヴィンだったが、いつもリリアを見ているリヴァイが言うのだからもしかしたら本当なのかもしれない。
エルヴィンは少しリリアの様子を見るのもかねて部屋を訪れる事にした。

/ 1007ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp