第17章 #17 エルヴィンの想い
ハンジの報告を聞き、少し気を落とした様子のリヴァイだったが、それから暫くして戻ると言って部屋を出た。
巨人の正体が人間かもしれないという事がまだ信じられないようだった。
「リヴァイ元気なかったね。仕方ないか…」
「そうだな」
「お兄ちゃんは顔に出し過ぎ」
リリアに指摘され、エルヴィンは苦笑いをした。
巨人の真実に一歩近づいた事に正直喜びという感情が湧いていた。
リリアが止めてくれなかったらあのままリヴァイに責められていたかもしれない。何故笑うのか、と。
「助かったよ」
エルヴィンがリリアの頭を撫でようとすると、リリアは伸ばされた手を掴み、自分の頭に触れさせないようにした。
「リリア?」
「…もうお兄ちゃんに甘えるのはやめる」
「何故?」
掴んだ手を下に降ろすとリリアは口を尖らせた。
「こういうのはさ、お兄ちゃんの好きな人にやるべきなんだよ」
また始まった、という顔をしたエルヴィン。
まだ勘違いされたままのようだ。
「そうか…それは寂しいな。でもまぁ、リリアが言うなら仕方ない。俺ももう辞めよう」
パッとリリアから手を離したエルヴィンの行動に、リリアが落ち込む。
エルヴィンにそう言われるのは予想外にキツかった。
「ち、ちょっとだけなら…いいよ?」
「いや、やらない。もう撫でないし、抱きしめもしない。俺はそのリリアの言う"好きな人"にしかしない事にする」
「うぅ……別にいいよ…」
完全にいじけたリリアにエルヴィンは苦笑いをした。