第2章 #02 トロスト区襲撃
緊張の糸が切れたかの様にペトラが大きなため息をついた。
オルオはいまだに目を輝かせリリアの後ろ姿を見送っている。
すると後ろの方から二人の兵士が声をかけた。
二人と同じリヴァイ班に配属されているエルド・ジンとグンタ・シュルツだ。
「どうした?お前ら」
「いや…リリア兵長をリヴァイ兵長のとこに案内してて…」
「リリア兵長!?あのっ?」
ペトラがはい、と頷く。
「いつもエルヴィン団長の後ろにいてメチャクチャ無表情のあのっ?!」
「確かに素っ気ない感じだけど…質問したら返してくれるし…リヴァイ兵長とはどんな話をいつもしているんだろう」
「これは噂だが……本当は凄く明るい人らしいぞ?ハンジ分隊長と話してるのを見た事がある奴が言っていたが…」
「ふぇっっっくしゅ!!!」
エレンの元へ向かっている最中、リリアが突然くしゃみをし、前方を歩いていたエルヴィンとリヴァイがビクッと肩を上げた。
「でけーな、オイ」
「ぐすっ……誰か私の噂してるな………へっっくし!!」
「…風邪か?」
「違うー」
エルヴィンがハンカチを取り出しリリアに渡す。
スンスンと鼻をかみ、リリアはハンカチをポケットにしまった。
しばらく歩くとエレンが捕らえられている地下牢へと到着した。
入り口でリリアは頬をパシパシと叩き、厳しい表情に戻した。
それを見たエルヴィンは苦笑いをするとリリアの頭をポンポンと叩く。
「っ!?」
「行こうか」
頭上にハテナマークを浮かべ、リリアは隣にいたリヴァイを見る。
するとリヴァイもリリアの頭をポンポンと叩いて先に入ったエルヴィンに続いた。
二人の謎な行動にさらに首を傾げながらリリアも二人の後ろから地下牢へと入った。