第93章 失踪ルート#03 落胆
「リリア兵長、準備は出来ましたか?」
「もう少しー」
朝になりエレンとリリアは宿を出る支度をしていた。
ここからエレンは戦争に参加、リリアは先に協力者と共にレベリオにあるエルディア人収容区内の病院へ行く事となる。
リリアは片手で一生懸命ボタンを着けているがなかなか上手くいかない。
エレンは微笑むと手を伸ばした。
「リリア兵長、やります」
「んー……ごめんねぇ」
一つ、一つとボタンを付け、最後の一つを付けたところでエレンの動きがピタリと止まった。
「エレン?」
「リリア兵長……しつこくすみません。本当にオレに着いてきて大丈夫ですか?今ならまだ仲間の所に戻れます。最後の最後のチャンスです」
「エレン、私は何度も言って……」
「オレはズルいんです!!!」
急に声を荒げたエレンにリリアは驚き目を見開いた。
歯を噛みしめながらエレンは再び泣きそうな顔をしてリリアを見つめている。
「兵長……オレは未来がどうなるのか見えますが、仲間がどうなるのかは分かりません。生きるのか、死ぬのか…。でもリリア兵長の生死は分かるんです」
「どうして?」
「多分これから先ずっとオレの側にいるからです……」
昨日から何度も何度もリリアに確認をしてくるエレン、ここまで聞かれるとさすがにリリアも気付く。
エレンの見る自分の未来はおそらく“死”なのだろう。
だから未来を変えたいと、何度もまだ引き返せると言うのだ。