The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
見慣れない奴がいるからと、視線が集まってくるがそれが本当に鬱陶しい。
まぁ見慣れない奴が総長とか隊長と親しければ怪しむかもしれない。
「佐野先輩…何で不機嫌そうなんですか」
「オレが先に見つけたと思ったのに…」
「先に見つけたって……」
どういう理由なんだよ。
そう思いながら溜息を零していれば、苦笑を浮かべている龍宮寺先輩が歩いてくる。
「イズミっちはお前のモンじゃねぇぞ」
「知ってるし!!でもさぁ何で場地とかが先に会ってんのさ。オレ、真一郎の弟なのに」
「そりゃ、お前がシンイチロー君のバイク屋に行かなかったからなんじゃねぇの?まぁ、オレバイク屋には行ってなかったけど和泉と出会えたけどな」
「は?なに、場地。自慢??」
「おい、喧嘩をおっぱじめようとすんな」
けーすけ君の言い方は完全に煽りっぽかったよな。
そう思いながら苦笑していると、ふと隣に三ツ谷先輩が立っていたのに気が付く。
三ツ谷先輩も苦笑を浮かべながら、そのシルバーパープルの瞳を私へと向ける。
そして三ツ谷先輩の瞳の中に無表情の俺が映っていた。
「場地とも知り合いだったんだな」
「はい。幼馴染みみたいな関係なんですよ……と言っても暫く連絡取ってなくて今日再会したんです」
「そうだったんだな…。場地が羨ましいな」
「え?」
「オレも和泉と早く出会っていたかったなって話」
クシャッと頭を撫でられる。
確かに俺も三ツ谷先輩のような人と早く出会っていたかったと思う。
だって数少ない俺が男装している事を褒めてくれる人だから。
「三ツ谷!!近い!!なんか距離近い!!」
「悪ぃか?」
「悪い!イズミっち、三ツ谷と近くない?」
「そうですかね…」
「オレ、ちょっと警戒されてんのに」
警戒されてるって気付いてるのか。
思わず笑いそうになりながらも、佐野先輩を見れば口を三角にして尖らせている。
その拗ねようはまるで子供。
小学生のようにも感じてまた笑いそうになるのを必死に我慢する。
「まぁ、マイキーとオレに関しては出会いがそんな良いもんじゃなかったしな」
「そうなのか?」
「キヨマサの喧嘩賭博で会ってるからな。あの時すげぇイズミっちに睨みつけられてたんだよ、オレら2人して」
「まぁ、あの状況では仕方ないと思いますけど」