The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
一人で、一人でやらなきゃ!!
「八戒を守んぞ!!!」
「おう!!!」
「おらぁ!!」
ずっと一人で守らなければならない。
そう思っていた柚葉は、八戒の仲間達が八戒を守ろうとしてくれているその光景に涙を流した。
大寿に殴り掛かり、殴り飛ばされた武道を支える八戒の背中は逞しかった。
「大丈夫か!?タケミっち」
「オウ!サンキュ!」
『ごめんね、八戒……ゴメンね』
『……姉ちゃん』
『アタシが絶対守るから!!!絶対絶対守るから!!!アタシがママの代わりになるから!!!』
「家族(柚葉)は絶ッ対ェオレが守る!!うらあぁああぁ!!」
その時、柚葉は後ろから誰かに抱き締められるような気がした。
『柚葉。1人じゃないね』
母親が抱き締めてくれている。
そんな感覚があったと思った時、目の前に和泉が現れ抱き締められた。
「和泉……?」
「柚葉、もう一人じゃない。もう一人で守ろうとしなくていいんだよ。これから私達が、仲間が守るから」
優しく微笑むその表情はまるで母のようだった。
「私たちに任せて」
「和泉……」
(ありがとう……みんな)
柚葉から離れた和泉は大寿へと走り出し、床を蹴りあげるとそのまま大寿のこめかみに蹴りを入れる。
突然の衝撃に大寿はふらつき、倒れかけた。
「和泉!おまえ、ワンピース!!」
「ストッキング履いてる」
「そういう事じゃなくて!!」
「タカちゃんに怒られろ!!」
武道、八戒、和泉が大寿を相手に、千冬は青宗を三ツ谷は九井を相手に殴りかかる。
だが直ぐに限界というものがきた。
最初に座り込んだのは千冬。
「くそ!!足やっちまった、タケミっち!!」
次に三ツ谷がその場に膝をつく。
そして武道はふらつき、倒れそうになったのを八戒と和泉が支えた。
「ごめんな、タケミっち。もうとっくに限界なんて超えてたよな」
「よく頑張ったよ、武道」
和泉も八戒も既に限界を迎えていた。
八戒はボロボロであり、和泉は体力を消耗しているのと、殴られた頬と背中の痛みで動きづらい。
「…オマエは愚かだな……八戒。結局全てを失う事になった。神澤もオレの元に下れば良かったものを」