The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
ー翌日の夕方ー
今日の授業全てが終わり、下校時間のチャイムが鳴り響く校舎内にて俺は昇降口にいた。
欠伸を噛み殺しながら下駄箱から靴を取り出しながら、今朝の武道との会話を思い出す。
『マイキー君と稀咲鉄太の接触を止めるには、やっぱり東卍に入った方が良いと思うんだ』
想像通りの武道の答え。
なので俺は武道に『お前が入るなら、俺も入る』という趣旨を話しておいた。
(東卍……真一郎君の弟である佐野先輩が総長であるチーム。どんなチームかは、まぁまぁ気になるな)
真一郎君に憧れて惹かれて、黒龍に入った人間はかなり多かった。
そして他人を巻き込むような争い事はなく、自分達が起こした不祥事は自分たちで片付けるようなチーム。
「東卍はそういうチームなのか……どうか」
「あ、和泉君!!」
「……橘」
東卍について考えていれば、橘が早歩きでやって来て相変わらずの優しい笑顔を浮かべていた。
後ろには武道の姿もある。
「どーした?」
「実はね今からタケミチ君と出掛けるんだけど、和泉君も一緒に行かないかなってお誘いしにきたの」
朗らかな笑顔を浮かべながら話す橘を見て、後ろの武道を見ればあからさまに『来るな』という表情。
恐らく昨日行けなくなったデートの埋め合わせのお出かけと言った所だろう。
2人で出掛けてデートすれば良いのに、橘は俺を見掛けるとよく遊びに誘ってくれる。
優しくて気遣いの出来る橘は武道には勿体ないだろう。
「俺は遠慮するよ。昨日、デート出来なかったんだし2人で行っこいよ」
「あ、で、デート…」
「武道、ちょっと来い」
デートという言葉に頬を赤らめる橘を横目で見ながら、俺は武道へと手招きをする。
そして怪訝そうに首を捻りながらやって来る武道の足を思いっきり踏みつけた。
「いっ!!??」
「お前顔に出すぎな?嫉妬深い男は嫌われんぞ」
「うっ…」
「あとお前体は14歳でも、中身は26歳。変なことすると犯罪になんぞ」
小声でそう言うと武道は顔を真っ青にさせるので、俺は笑みを浮かばせながら橘の方へと視線をやる。
何を話していたのか分からないという表情だ。
「デート、楽しんでこいよ。橘、今度違う日に遊ぼうな」
「あ、うん!じゃあね和泉君」
「おーじゃあな。武道、ハメ外すなよー」