The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「青宗っ、お前…!」
「オレが!!お前を欲しいのは、金とか権力じゃないっ」
眉を下げて泣きそうな表情を浮かべている。
何でお前がそんな顔をしているのだ…訳が分からない。
そう思っていると、肩をトンっと押されてそのまま押し倒された。
「なに…を」
「オレはただ、お前が欲しいっ」
両手が頭上で纏められ押さえつけられる。
そして青宗が俺の上に覆い被さるようにいる事に、背筋が凍った。
喉がひゅっと小さく鳴る。
そして背中からゾクッとした冷たい感覚が遅い、額に汗が滲むのも分かった。
「うそつけ…。お前は俺に鳴ねぇを重ねてるだろ…俺が鳴ねぇみたいになるって思って。俺は俺だ!!神澤和泉だ!!他人に重ねられて見られて、利用されるなんてまっぴらごめんだ!」
「そうじゃねぇ!!オレは、オレはお前が好きなんだよ」
「…は?」
青宗の言葉が頭の中で回る。
『お前が好きなんだよ』という言葉を聞いて、眉間に皺が寄っていく。
「嘘だ…」
「…嘘じゃねぇ。ホントだ」
「俺にその言葉を信じろって?今までお前は、俺を黒龍再興の為に利用しようとしてたのか??信用するわけないだろ」
どうやってその言葉を信じればいいんだ。
だって青宗は初代黒龍再興の為に、俺を利用とした事だってあった。
それに今まで受けた好意は本物だったか?
いいや、どの言葉も信用なんて出来ることはできなかった。
だって全部全部俺に近寄ろうとした嘘ばかりだったから。
「信用できない……」
「チッ!!」
「もう、離っんぐっ!?」
唇が何かに塞がれた。
それが青宗の唇と脳が判断したのは少し遅れてから。
その途端腹奥底から冷えたような虫が体を這い回っているような感覚が押し寄せた。
「んっ、んぅぅぅ!!!!」
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
その言葉がグルグル回りだし、そして嫌な記憶が蘇ってきた。
昔の記憶…無理やり押し倒されて犯されそうになった記憶。
恐怖と吐き気が同時に押し寄せてきて、体がブルブルと震え出した時である。
唇を無理やり割られて、舌が口の中に入ってきそうになったのは。
「むぐぅ…ぅ…」
「んうっ」
舌が入りそうになった瞬間、俺は無理やり顔を横に向けてから青宗へとかなり勢いをつけて頭突きをすれば青宗が仰向けに倒れていった。