第8章 理由と意地
「ほんとにモブリットさんじゃないです・・・。」
フィンは呼吸を整えながらつぶやいた。
「じゃあ誰とだ。
昨日の夜にはなかっただろう。」
フィンのことを睨みながらリヴァイは言った。
昨日と今朝の出来事が
フィンの脳内によみがえる。
「・・・・・リヴァイ兵長には関係ないことです。」
フィンはリヴァイを睨み返す。
「・・・なんだその目は。」
リヴァイの三白眼が大きく見開き
視線だけでフィンを威嚇する。
フィンは睨み返して
「相手が誰かなんて報告までする必要あるんですか。
私がだれと何しようが関係ないですよね。」
黙った方がいいか、一瞬フィンは考える、
でもリヴァイに今朝のことなど知られたくない。
「それとも誰かと寝るのにも許可がいるんですか?」
リヴァイがフィンを睨み黙り込む。
「・・・・そうだな。
お前がだれと何しようが関係なかったな。
邪魔したな。」
モブリットをフィンの方向に
突き飛ばすように手を放し、
ドアに向かって歩いていくリヴァイ。
ガチャッ。
バタンッ。
ドアの開閉音だけが部屋に鳴り響いた。