第5章 ●独占欲と歪愛 Noin
やっと自由に呼吸ができるようになったフィンは、
大きく息を吸って、乱れた呼吸で
「・・・・・・ご・めん」
と顔を紅く染めながら涙を流し謝罪の言葉を漏らした。
フィンの口から紡がれた謝罪の意図が理解できない。
拒絶されるとばかり思っていたのに
予想外の言葉に俺は動けなくなった。
肩を大きく揺らしながら、フィンは続けて話す。
「・・・・ごめんねッ
泣かないでッ・・・・」
腰に回されえたしなやかなフィンの腕に力が入って抱きしめられる。
フィンに言われてから
俺はいつの間にか自分の目から、
溢れている雫の存在を認識する。
いつから、なんの為に泣いているのか全く検討がつかない。
フィンは俺の涙を拭きとる。
「なんで・・・
フィンが謝るんだよ・・・・?」
と驚きを隠せない、情けない声が漏れる。
フィンは
「・・・だって
ずっと前から・・・ノインの気持ち分かってたから・・・
知らないふりしてて・・・ごめん・・・」
と言ってから紅い顔をうつむかせる。
「・・・・・・ノインがしたいならいいよ。
私の”初めて”あげる。」
またフィンの口から出る予想外の言葉。
なぜ?と疑問を感じ俺は思わず、
「・・・・え、
・・・・・・なんで?」
と目を丸くしながらフィンの俯いた顔を上に向けた。
フィンの瞳から涙が勢いよくあふれ出ている。
「・・・・・だって・・
ノインの・・・
気持ちがよくわかったのッ・・・
叶わないって気持ちが哀しいって
・・・・知ったから・・」
嗚咽交じりにフィンが言う。
「・・・・でもノインの気持ちは
私なら満たせるでしょう・・・・?」
と作った笑顔で笑うフィン。
なんでそんな優しい顔するんだよ・・・。
ノインは胸がきゅうっと締め付けられた。