第4章 それぞれの願い想い
答えは目に見えていた、
《他人の命より、フィンの命を生かすこと》
優しいフィンのことだから
自分を責めるだけで、俺のことを恨まないかもしれない。
いや、恨んでもらおう。
それでいい。
フィンさえ生きてくれれば。
たとえフィンと離れることになっても。
フィンの心に傷跡を遺して
存在できるならそれもいいのかもしれない。
最初から愛になれないまま終わる恋なのだから、
最後は歪んだ愛で終わってもいいだろう。
雨音が窓を叩きつける音を聴きながら
独り、フィンの帰りを待った。
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薄く朝日が漏れ出す頃に帰ってきたフィンは
家に入るなり、俺にもたれ倒れこんできた。
抱きかかえて寝室に連れていく。
・・・・・微かに別の匂いがした。
濡れている服を替えるために
寝入っているフィンの服に手をかけてボタンを外して
ゆっくりと服を脱がせる。
濡れていたシャツが
バサッと音をさせながら床に落とされる。
体からもほかの匂いがする。
すでに嫉妬心であふれた心が
嗅覚を敏感にする。
首元からも
胸元からも
太腿からも
全身から男の匂いが微かにする。
フィンの血の臭いでさえ嫉妬心をされに欲情させた。
他の臭いなんて赦せない。
かき消すかのようにフィンの華奢な躰を壊れそうなほど強く抱きしめる。
フィンの
「・・・・んっ」
と苦しそうな息が漏れる。
ノインは嫉妬と欲望にかりたてられる。
フィンの下着を強引に剥ぎ取った。
もうこの欲情は止められない。