第3章 おそろい*
ゆらゆらと、身体を揺すられる感覚に、ゆっくりと目が覚める。
なんだァ?
目を開けてみれば、そこにいるのは俺の愛してやまない愛しい女。
俺の腕の中で、すやすやと夢の中。
どうやら葉月がもぞもぞと動いていたようだ。
あどけない寝顔に、つい頬が緩む。
無防備に寝やがって。
可愛いなァこのやろォ。
昨日は怖がらせて泣かせちまった。
事を急ぎ過ぎた。
欲を言えば、あのまま最後までいけたらどんなによかったか。
だが焦りは禁物だ。
時間はきっとかかるだろうが、ゆっくりいきゃいい。
葉月の気持ちの方が大切だ。
部屋の中を見渡すと、障子から差し込む明るい日差し。
もう朝なのだと知らされた。
その時、縁側の方でトトトッ…となにやら微かな物音が。
…。
そういやさっきから俺の屋敷では普段聞き慣れねェ小鳥の囀りが聞こえてくるんだが。
もしやそいつかァ?
確かめてみっかァ。
未だ夢の中の葉月。
頬に一つ口付けを落としてから、起こさぬようそっと布団から抜け出し、障子をゆっくりと開けそこを覗き込むと…
「…いるなァ」
見慣れぬ青い小鳥がそこに鎮座していた。
小さいながらも胸を張り、心なしかふんぞり返っているように見える。
偉そうだ。
障子を後ろ手でそっと閉め、突如現れた謎の来客と対峙する俺。
俺を見ても逃げていかねェところをみると、どうやら人に慣れているようだ。
飼われてたんだろうか。
よく分からねェが、せっかくだ。
俺は小鳥の前に腰を下ろし、少し話しかけてみることにした。
「お前、どっから来たァ」
…。
いや何聞いてんだ俺は。
小鳥が答えるわけねェだろォ…。
案の定、小鳥は俺を見つめるばかりで微動だにしない。