第3章 おそろい*
静かになり、だんだんと眠気もやってきた頃、
「お揃いの…」
「…おそろいの?」
「…茶碗もいいなァ」
実弥さんが、ポツリと呟いた。
「夫婦茶碗?」
「オォ」
実弥さんからまさかそんなことを言うとは思ってもみなくて、私はうずめていた顔をパッと上げた。
「湯呑みだけじゃァ淋しいと思ってなァ」
私の髪を撫でながら、そんなことを言う実弥さん。
実弥さんもお揃いがあると嬉しいんだと思い、私は少しだけ欲張りになってしまい、こんなことを口走った。
「湯呑みと茶碗があったら…、お箸も欲しくなりますね…?」
そんなにあったらお揃いだらけで鬱陶しい。
そう思うも、お揃いが増えると私は嬉しくなってしまう。
実弥さんはどうだろう?とちらっと様子を見てみれば、
「今度一緒に買いに行くかァ?」
柔らかく微笑み、私の願いを聞き入れてくれた。
「行きます!うれしい!」
「そんなにかよ。少し先になるが、それでもいいかァ?」
「いいです、待ちます!ちゃんといい子で待ちます!」
「っはは、分かったから落ち着けェ。んじゃ、いい子の葉月ちゃんはそろそろ寝ろよォ」
そう言って実弥さんは私のおでこにちゅっと口付ける。
私を抱きしめ直し、
「おやすみ葉月」
幸せそうに瞳を閉じた。
実弥さんとお出かけ。
楽しみだなぁ。
次の逢瀬に胸膨らませ、ほくほくとした気持ちで私も眠りにつくのだった。
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