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小春日和 【鬼滅の刃 不死川実弥】

第1章 幸せのカタチ






水篠は「少々お待ち下さいね」とにっこり微笑むと、店の奥の方へ引っ込んで行った。




別に水篠が悪いわけじゃない。
混んでる時に来てしまった俺が悪いだけだ。
だがなァ、どうしても言いてェ事がある。




「何でこうなっちまうかねェ」

「それはこちらの台詞だ。まぁ冨岡じゃなかっただけマシだと思うが」

「それもそうだなァ」

「えぇえっ!…あのぉ、不死川さんはあの女の子とお知り合いなの?」

「いや、知り合いっつーかなァ……」

軽く説明してやるかと思ったその時、

「お話中失礼致します。不死川様でいらっしゃいますか?」

「あ、はい。俺が不死川ですが…」

ここの女将の妙と名乗る女性がやってきた。
なんでまたそんな偉い人が俺んとこに来るんだァ?
そう思い首を傾げると、

「先日は、うちの葉月が大変お世話になりました。命を救って頂いたと。有難うございます」

俺に向かって女将さんは頭を深々と下げた。

「は⁈ちょっ…!女将さん頭上げて下さいっ…」

俺がアタフタする横で、初めはキョトンとしていた伊黒と甘露寺だが、女将さんの話を聞いて「あ〜なるほどね〜」みたいな顔をしてこっちを見ていた。

ア“ークソ!女将さんには申し訳ねェが、俺はこういうの苦手だ!
オイ、見てねェでどうにかしてくれ!


すると、店の奥からおはぎを持った救世主が現れた。

「ああっ!妙さん、不死川さんが困っちゃってます!」

「そうね、ごめんなさいね。でもどうしても伝えたかったのよ。だって、葉月は私と主人の娘みたいなものだもの。失わずに済んで良かった。感謝してもし切れないわ」

「妙さん…」

気持ちは分からないでもない。

怖がらせちまうと思って言わなかったが、実はあの時かなりヤバかった。
俺が見た時にはもう既に鬼に腕を掴まれていて、あと1秒でも到着が遅れていたら、水篠はここにはいなかったかもしれない。

間一髪だった。

実際、俺ら鬼殺隊が間に合わずに命を落とす一般人も多いだろう。

水篠の運の強さもあるが、本当にあの時、間に合って良かったと思う。




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