第1章 幸せのカタチ
あれから一週間、いつものように朝起きて、いつものようにお仕事をして、いつものように寝て…
何事もなかったかのようにいつも通りの毎日を過ごしている。
その間、不死川さんがお店に来る事はなかった。
「はぁ…」
机を拭きながら、今日何度目か分からないため息をつく。
今日も来なさそうだな不死川さん。
約束したわけじゃないんだけどね。
気が向いたらって言ってたんだよね。
だから期待はしない方がいいのかもしれないけど、やっぱり本当に…
…気が向かなかったって事なのかな。
「はぁーっ」
「おやまぁ、盛大なため息だこと」
ここの茶屋の女将の妙さんがくすくす笑いながらこちらへやって来た。
「ごめんなさいお仕事中に」
「まぁそういう気分の時もあるわよね。一応お客さんの前だから控えめにね。で、どうしたの?」
どうやら妙さんは私の悩みを聞こうとしてくれているみたいだ。
仕事中にいいのかな?
でももう聞く気満々だし…
それに、誰かに話したらこのモヤモヤが軽くなるかもしれない。
そう思った私は、妙さんに少し話をしてみる事にした。
「そうだったの。約束してないんじゃしょうがないわね」
「うちの甘味とっても美味しいから是非ご馳走したかったんですけど…」
「あら、本当にそれだけ?」
「え?」
「うふふ、まぁ気長に待ちましょ?もしいらしたら呼んでね、私もお礼が言いたいわ」
「妙さん…」
「さ、仕事しましょ!」
「はい!」
それからまた数日、いつものように働いていると…
ーーガラガラガラッ……
「いらっしゃいませーーー………あっ‼︎」
「よォ」
ついに、待ちに待った“あの人“がやって来たのだ。