第3章 おそろい*
空がうっすらと白み始めた頃、耳に心地良い小鳥の囀り。
布団からゆっくりと起き出し、いつものように障子を開けると、
「おはよう、今日もいい天気だね」
ちょこんとそこにいるのは小さな小鳥さん。
いつも決まってそこの縁側にいて、待っていたよと言っているかのように、下から私を見上げているのだ。
毎朝囀っているのは、多分この子なんじゃないかなぁと思う。
「ほら、おいで?」
座って手を差し出すと、その小鳥は何の迷いもなく私の手のひらにちょんと乗っかった。
初めは手を出した途端に飛んで行ってしまったけれど、今ではこうやって大人しく私の手のひらに乗りに来てくれるまでになった。
私に慣れてくれたのか、とっても嬉しい。
「いつも起こしてくれてありがとう。あなたがいないと、私もう朝は起きられないかもしれないよ」
すると小鳥は私の手のひらの上でくつろぐ体勢に入る。
お話聞いてくれるのかな?
気を良くした私は、朝からこの小さなお客さんとのささやかなおしゃべりを楽しむのだった。
「そういえば、あなたはなんて言う種類の鳥なのかなぁ?」
私がそう言うと、小鳥は「ん?」と首を傾げた。気がした。
残念ながら、鳥には詳しくない。
いつか知れたらいいな、可愛い小鳥さん。
それでも、いつまでもあなたじゃあなんだか味気ない。
「名前…私が付けてもいい?」
すると、小鳥は小さく「ピィ」と鳴く。
……返事した!
付けてもいいって、ことよね?
何にしようかなぁ…
小鳥の身体を撫でながら考える。
名前を付けるって、なんだかワクワクするな。
「とっても綺麗な色だねぇ。…そうだ、『瑠璃』はどう?あなたの羽の色からとった名前だよ」
小鳥相手に豪華すぎる?
でもこの子にはぴったりだと思った。
「どうかな?」と聞いたら、「ピィ!」と元気よく返事が返ってきた。
やっぱり、私の言葉分かるのかしら?
なんて思ってみたり。
何はともあれ『瑠璃』を気に入ってくれたようで何よりだ。