第27章 切り札を作れ!!
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縁壱「兄上、どうなさったのですか!?」
私達があまりにも遅いからか、縁壱さんが様子を見に来た。六つの目から涙を流し、しょぼくれている巌勝さんを見て慌てているようだ
黒死牟「縁壱、聞いてくれ。まゆから一週間程交わる行為を禁止されてしまった…勿論お前もだ」
縁壱「寝る前の件ででしょうか…」
まゆ「分かってるじゃないの。そう言えば四百年前にも有ったわねっ、縁壱さん!」
巌勝さんと縁壱さんは二人揃って体育座りをしている。背中に重ぉーくて暗ぁーい背景を背負って。だからってダメなもんはダメよ…頑張れ私。いい歳して体育座りでしょぼくれている可愛い旦那達に負けるな!!
黒死牟「まゆの意地が悪い…」
縁壱「普段はなぁなぁですが、一度こうなってしまったら梃子でも曲げませぬ。前に一週間、真にお預けくらいました…」
黒死牟「絶望的ではないか」
縁壱「えぇ…」
そこまで落ち込むような事!?たった一週間じゃないのよぉ〜。それ位は我慢しなさいよね!!
まゆ「永遠にお預けってわけじゃないんだから元気出してよ。私が悪いみたいじゃない」
縁壱「まゆが悪いわけではない。ただ、愛し合いたいだけだ」
黒死牟「まゆ、まゆ、まゆ、まゆ、まゆ…」
二人とも随分と往生際が悪いわね。二人で可愛く私を見ても無駄よ!伊達に鋼鉄の女王とか言われているわけではない。癪だけど…
まゆ「我慢出来たら、文珠を大盤振る舞いで一人ずつ思いっきり相手しようかな…」
黒死牟「…!?一週間で良いのだな…。縁壱、一週間は加減一切無しで稽古だ。道場を破壊してはならぬ故、裏山で戦おうぞ」
縁壱「はい。道場を破壊してしまったら一週間が一ヶ月に延びるかもしれませんからね」
食い付き凄いっ!道場破壊はいただけないわねぇ。まっ、一ヶ月は私が無理だから延長はしないけど(笑)
まゆ「さっ、ご飯食べましょう。お腹空いちゃった」
巌勝さんと縁壱さんは同時に「わかった!」と言い、走り出した。まったく現金なんだからぁ♪
まゆ「クスッ、子供みたい」
二人の大きな背中に、幼い日の幻影が見えた
そんな気がした…
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