第2章 季節が変えるのは
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★この小説の巌勝の妻は、性格悪いので許せる方のみどうぞ
巌勝の婚儀から二ヶ月が過ぎてまゆも漸く落ち着いた頃、まゆは百合に頼まれ八百屋に来ていた
八百屋のおじさん「おっ、まゆちゃん久し振りだねぇ!」
まゆ「おじさんこんにちわ!いやぁね、稽古に打ち込み過ぎて毎日クタクタで来られなかったのよ。あっ、人参二十本ね」
八百屋のおじさんと会話をしていると、先に来ていた志津がまゆを『ギロリ』睨みつけたが気が付いていない
志津「(この女がまゆ…)」
この女が継国家の女中が話していた『巌勝様の元恋仲の子』なのだろうと志津は確信した。その途端、まゆに対する憎悪で気が狂いそうになる
八百屋のおじさん「まゆちゃん大人っぽくなったな!遂に彼氏が出来て大人の階段登ったかぁ〜?」
まゆ「やだぁ〜相手も居ないのに、あるわけないですよ〜www」
目の前の女の愛らしい顔と愛らしい声、そのどれもが自分の夫を魅了しているのだ。例え今現在関係が無くとも許せるはわけがない。自分には笑顔一つ見せてもらえないのだから
志津「あらぁ〜貴女もしかして御影まゆちゃんかしら?」
まゆは八百屋のおじさんから釣りを受け取って帰ろうとするが、突然知らない女性に話しかけられ、少しビックリはしたが愛想良く答える
まゆ「はい!しかし、お姉さんは何故私を知っていらっしゃるのでしょうか?」
志津「家の女中達の話の中でまゆちゃんの名前がよく出るのよ。私は継国志津と申します、よろしくね」
『あぁ、この人が巌勝さんのお嫁さんなんだ』とまゆの胸の奥がギリギリと音を立てて締め付けられた。志津はまゆの顔が一瞬歪んだ事に気が付き、これは愉快と口の端を上げた
志津「良かったらこの後一緒に帰らない?家は隣なんだし、こんな可愛らしくて幼い子供を一人で歩かせられないわ」
まゆ「あっ、私は…」
八百屋のおじさん「まゆちゃん一緒に帰りなよ〜、大好きな幼馴染みの兄ちゃんの嫁さんと仲良くしなぁ〜」
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