第17章 大正恋物語【煉獄家】
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まゆは『六年は会えないのよね…寂しいなぁ』と、薄れていく意識の中で思うとハッとする。絶対に言わねばならぬ事を思い出したのだ
まゆ「またね!縁壱さん愛しているぅぅぅ」
縁壱「私もまゆを愛してる。また会おうな…」
鬼灯「神魔の中心で愛を叫ぶ」
美月「申し訳ありません!うちの親が…(何回、愛してるって言うの!?)」
家族や仲間が見守る中、まゆが現世へ向かう穴に吸い込まれていく。完全に意識は途絶え、暗く底の見えない道を漂いながら母となる者を目指して進んでいくのだった。横並びで進む一つの魂と共に…
こうして始まった二度目の人生は、果たしてどうなるのか!?
その頃、見送りを終えた者達は次々と仕事場へと帰っていく。しかし、その場から離れようとしない者が若干一名居る
美月「お父さん、いい加減にしてよね。帰るよ!」
縁壱「お前は仕事に行きなさい。お父さんは暫く居るから…」
若干一名とは縁壱のこと。悲しみイッパイの顔で膝を突き、子供達を困らせていたのである
雅勝「そんなに寂しいなら一緒に行けば良かったではないですか!」
理壱「そうですよ。母上は一緒に来てほしいと言っていたではありませんか」
縁壱「何処に産まれたら良いのだ。血縁は嫌だぞ!」
美月「近所の子とか選択肢は有るでしょうに」
陽縁「幼馴染と恋仲って素敵っ」
縁壱は「近所に同じ歳で産まれられる確率は何%だ」とか「もしも前回のまゆの様に記憶が完全に塞がれてしまったらどうする」等と、子供達に反論していた
美月「大の男が…。仕事あるからまたね!雅勝達も仕事行くよ!」
縁壱「仕事に行きなさいと言っておるではないか…」
理壱・陽縁「はーい!」
雅勝「私は非番です」
雅勝は非番なので残る。だが、あまりにも暇過ぎたので雅勝は本当の父である巌勝の事を質問する
雅勝「父上…父様は、どんな方なのですか?」
縁壱は巌勝について余す事なく話していく。辺りが真っ暗になっても話し続け、遂に雅勝は縁壱の膝で寝てしまったのだった
縁壱「既にまゆに会いたくなってしまった…」
どんなに寂しくとも『愛しい者に会える』その日まで待ち続けるのだった…
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