第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
駅から車に乗り、一時間ほど。
運転手が夢乃の座る後頭部の扉を開けると、立派な和風のお屋敷が目に飛び込んできた。
【雨宮】と書かれた表札の門を潜れば、現れたのは広い広い庭園だった。
「これ。夢乃、お待ちなさい」
夢乃は叔母から離れて、おぼつかない足取りで庭の方へと進んで行った。
しばらく走れば景色は一変し、雨宮家の親族らしい風格の男達や着飾った奥方達が、縁側の座敷で談笑をしている。
「勝手なことはしないでちょうだい」
大叔母はようやく追いつき、手を引いた。
しかし、夢乃は動こうとせず静かに佇んでいる。
不思議に思った大叔母が夢乃の視線の方へと目を向けると、黒の学ランを来た少年が立っていた。