第2章 ♡アラブの王様に飼われるお話♡
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ふわりと身体が軽くなったような気がした。
あれほど全身が熱かったというのに、今は冷たい風に包まれているような気がする。
暗闇の中にあった意識がゆっくりと戻ってきて、自然と瞼が開いた。
ぼやけた視界がしだいに鮮明になってきて、綺麗な天井が見える。
どうやら自分は天井の高い部屋で、フワフワとした何かの上に寝かされているらしい。
「目が覚めたようだな」
自分の身に何が起きたか分からずにボーッとしていれば、唐突に声を掛けれた。
驚いて扉の方を見てみれば、そこには白く長い服を纏い頭から布を被っている男が立っている。
男は神経質そうな顔をしながら私に近付いてきた。
「ここはアライム帝国──ライール殿下の宮殿だ。お前は亜種だな。名前は?どうして砂漠に捨てられていた」
男の言うことはまるで呪文みたいで、グルグルと記憶を巡らせる。