第1章 合コン行ったら元カレにバッタリ遭遇したお話
「悟さんって呼んでもいいですか?…私のことは下の名前で呼んでください!」
「いいよー、けど僕興味ないやつの名前なんてすぐ忘れるんだよねーとりあえず、正面の子以外全員興味はないかなー」
「っ…今は興味なくても、きっと振り向かせてみせます!」
「…五条さんの好きな食べ物ってなんですかー?」
女性陣からの殺意がひしひしと伝わってくる。
何度も言う。お願いだから、私を巻き込むな。
いくつもの質問を受ける悟。
見た目は確かに良い方なので、騙される女の子は多いだろう。
悟の性格は一言で現すならばクズ。
本当にやばいから関係を持たないことを強くおすすめするわ…。
嬉しそうな顔をしはしゃぐ女と
空気になってつまらなさそうにお飲み食いする男の温度差がありすぎて思わず苦笑した。
そして、今がチャンスなのだと本能が告げる。
悟は女性陣の相手で忙しいからだ。
わざとらしく頭に手を置いてテーブルに突っ伏した私は行動に移したのだ。
『すみません…気分が悪くて…飲みすぎたみたいなので…私先に帰りますね』
「なら僕が家まで送るよ~女の子の一人歩きは危ないし、何より二人っきりで話したいからさ?」
『あ、あれ?さっきまで調子が悪いと思ったんだけど気のせいだったみたい!もう少しここにいよっかな~』
「そうなの?それは残念。なら、僕とお話しようか?」
どうにか逃げようとしたのだけれど、失敗に終わった。
飲みすぎたとこの場から離れようとした作戦は悟の巧みな話術の前では呆気なく終わってしまう。
次の作戦はないかと思考をフルに活動させた私はお酒の入ったグラスを見て1つの名案を思い浮かんだ。