第3章 気づいたときにはもう手後れ
いつの間に寮に戻ったのだろうか。目が覚めれば視界は見慣れた天井を映していた。
『…あれ?昨日どうやって戻ったんだっけ…』
確か昨日は低級呪霊の相手だと思ったらまさかの2級呪霊で。
体調が万全ではない私は、油断して背後を取られて…気がついたら五条先生が助けてくれて…それで…。
ここからの記憶は何一つ残っていなかった。
もしかしたら、安心して気を失ってただけなのな?
怠くて、重い体を引きずるように動かして数歩歩いたところでまた吐き気が込み上げてくる。
大好きな甘いものも、よく食べてた好物も最近は食べると気持ち悪くなる。
一時、つわりなんじゃないかと頭を過ったがそれは断じてない。
だって、私処女だし!!
『…癌とかかな…』
次の休みに病院へ向かおうと、決めて、服を着替える。
…あれ?私こんな服着てたっけ?
服に手をかければ、水色のパジャマを着ていた。
昨日の記憶はない。
ご飯を食べた記憶もお風呂に入った記憶も。
体が震える。
記憶がない事、最近多い気がする。
そういえば、昨日五条先生なんて言ってた?
ぐわんぐわんと思考が廻って気持ち悪い。なにか思い出しそうなのに、思い出せない。
とても不愉快。不快だ。