第3章 気づいたときにはもう手後れ
『っ…こんなときに…』
じりじりと近づいてる呪霊は、
とても楽しんでいるようで。
呪具を握り直して、呪霊に向かっていけば呪霊は私の背後へと瞬間移動した。
『っやば…』
死を覚悟した。
長い爪はまるでスローモーションのように私へと向かっていく。
痛いだろうな…。
この爪があたれば、私の顔はバラバラだな。
なんて、死角を取られ動けなくなった私はどこか他人事のように落ち着いた思考をしていた。
潔く目を瞑って数秒後に痛みがくるであろう時を向かえる。
けれども、どれくらいの時が経ったのか。
待てども待てども、その痛みはこなくて、ギャっと小さな悲鳴が聞こえた。
「危なかったね~僕が来なかったら、後数秒後には死んでたよ?」
『…ご、五条…先生』
目隠しをしたままの五条先生が、口角を上げ私を見下ろしていた。
呪霊は倒され姿はなくなっていた。
震えているのは、さっきまで死を覚悟していたからか。
震える唇でなんとか、口を動かしてお礼を言う私に五条先生は笑ってその後信じたがたい言葉を口にした。
『…え…?今なんて?』