第3章 気づいたときにはもう手後れ
時を戻してこれがため息の理由の1つ。
甘いものが好きなのに、ダイエットの為に控えなければならないのがとてつもなく気が重い。そして、もう1つ大きな理由がある。
それは…
「お疲れサマンサー!」
『っ!?』
「先生、ビックリするから、急に現れるのはやめてっていつも言ってるでしょ」
高専の校門を潜りおわると背後から聞こえる、聞きなれた声がして心臓がどきりと強く動いた。
冷や汗がだらだらと流れ落ち、
動けないでいる私に野薔薇ちゃんは大きなため息をついて、ピシャリと言い放った。
「…ごめんごめん~…わざとじゃないから、許して、ね?」
小首を傾げて、あざとく謝る五条先生に、硬くなった頬の筋肉を無理矢理動かしてぎこちなく笑う。
『いえ、大丈夫です…』