第3章 気づいたときにはもう手後れ
澄みきった青空。夏の残り香が、まだ残る初秋。
秋に染まる木々を見上げながら高専の校門を潜って、深いため息を1つついた。
その理由は遡ること数分前。
任務が終わった後、野薔薇ちゃんに言われた一言が始まりだ。
「アンタ…太った?」
『ぐっ…な、なっ』
帰りに原宿で寄道してクレープを食べて、私の下腹を摘まみながら話す野薔薇ちゃんに、パフェを頬張ってた口が止まった。
確かにここ最近、食欲が加速してるし深夜にも食べてばかりだった。
それでも、任務だとか忙しかったからそこまで体重の増加はしてないだろうと体重計を避けていたのだが。
まさか、見た目でもわかるくらい増加してたなんて…。
『ひ、ひどい!多分そこまで…きっと…太ってないと…』
「いーや、太ったね。だって肉摘まめるし」
最後の最後まで容赦なく真実を伝える野薔薇ちゃんにこれ以上は言い返せないと観念して太った事実を肯定する。
『最近…なんか、甘いものが食べたくて…』
「悩みでもあんの?」
『んー…忙しかったから…?でもいつも忙しいしな…』
最後の甘いものだとクレープを食べ終わり、高専へと戻る帰り道に私はダイエットを決意した。