第2章 後ろの正面だあれ?
「どーしたの?そんな暗い顔をして」
翌朝、重たい体を無理矢理起こして校庭へと向かう私に五条先生が声をかけてきた。
便秘?とケラケラと人を馬鹿にして笑う五条先生。
いつもは1つや2つ言い返すのに、今日はとても言い返せる気分じゃなくて無視して素通りしようとした。
けれども、そんな私に五条先生は先程よりも低い声で何かあった?と道を塞いで聞いてくるもんだから
ため息を1つ。
自然と口から出てきた。
『なんでもないです、気分悪いんでほっといてください』
「何でもないわけないでしょ?だって、さっきから空気重いよ?呪霊出るよ?」
本当にこの人はめんどくさい。
このまま、道を開けてくれそうにない。
けれども関係のない五条先生に話すのは嫌。
2つを天秤にかけて、結果にまたため息を1つ零した。
『昨日の夜道に暴漢に襲われました』
「…マジ?」
先程までのからかっていた空気を一掃したように、気不味い沈黙が流れた。
心身には大きな傷はつけられ、
文字のごとく身も心もズタボロにされた。けれども、この業界は毎年人手不足。猫の手も借りたいほど。
ずっと、泣きわめいてる程
心が弱い訳じゃない私は昨日の事は忘れて今日の任務へと向かおうとした。
けれども五条先生は、私を抱き締めてまるで子供をあやすように背中をぽんぽんと優しく叩いた。