第14章 夏仕度
「カナコは戦わせない リヴァイの出した条件を受け入れたのが自分だとエルヴィン分隊長がハッキリと認めたうえでカナコを戦闘員にするのは諦めるって言ったでしょ
カナコを調査兵団に入れたのはエルヴィン分隊長だから入団させた責任は自分にあるって言ったのと同じなんだよ
次期団長とも言われてるし あのカリスマ性のあるエルヴィン・スミスだよ もう誰もカナコに手出し出来ないよ」
あの時…エルヴィンにも私は守られていたんだ
「だから とりあえず汗で濡れたシャツのボタンを外してみたら?」
ほらほら と ナナバがボタン全部外してシャツの裾をウエストの少し上で結んでくれた それだけでかなり涼しくなる
「カナコは胸があるからね さすがにタンクトップだけだとエロくなるからさ このくらいの肌だしなら大丈夫だよ」
ナナバのお陰で収穫作業は快適に進める事が出来た
「地下街ってどんな所だったの?」
ナナバは収穫しながらプチトマトを口に入れた
「1日中 薄暗くて空気は淀んでる 毎晩何処かでケンカをしてる音が聞こえてた…
強盗も殺人も毎日どこかでおきてた 誘拐も多かったよ 路地にいる少し元気そうな子供とか珍種狩りとか……人身売買はお金になるからね」
「珍種狩りって何?」
「動物のペットに飽きた貴族が珍種を玩具奴隷として飼いたがるらしいの 外見が珍しい子は 珍種 って言われて誘拐されたんだよ
私は東洋人だからここでは珍しいでしょ?だからリヴァイから変装しろって言われて 13歳の頃までは男の子の格好をしてた
体が大きくなってからは男装はやめたけど 家の中でも赤毛のウィッグを着けて生活してたし 外出の時は眼鏡をかけてフードを深くかぶってた―…それでもリヴァイが許可した表通りと市場しか行けなかったの」
ナナバの動きが止まりトマトを掴んだまま私を見ている
「シガンシナでも珍種狩りにあったの―…リヴァイとモブリットが対処してくれたけど
ここでも 1人で施設から出るの禁止されちゃった」
優しいナナバは少し涙ぐんだ
「カナコ…―そんな過去があるなんて見えなかった…
って!シガンシナでもそんな事あったの!!」
涙ぐんだりビックリしたりいつもはクールビューティーなナナバが今は忙しく表情をクルクル変えた