第13章 意外と出来る子なんです
扉を開けるとキース団長はもう書類仕事をしていた
「おはようございます 少し片付けますね」
「あぁ」
私の方をチラリと見るとまた書類に目を落とした
『団長はカナコを気に入っているからね お願いするよ』
エルヴィンからそう言われて
まぁ…朝の掃除くらいいいかな と縫製の仕事を始めた今も朝の団長室の掃除の仕事は続けていた
「今日は立体起動の訓練をしたのか?」
時間が無かったから立体起動のベルトもブーツ着用したままだった
「はい 朝食前にモブリット副隊長に指導してもらいました」
本棚や窓枠を乾拭きをする 毎日の事だから埃もそんなに落ちてないから掃除はすぐに終わる
さっき摘んできた花を出窓に飾ったら15分ほどで終わった
団長は書類にサインをしている
「この書類が終わったら着替えて支部に行かなならん 悪いがそこのシャツのボタンが外れたから着けてくれないか」
「はい」
たまにボタンが外れたとか引っ掻けて破れたとか修理を頼まれる事があるので団長室に行く時は裁縫セットを持ってきている
ソファーに置いていたシャツの修理が終わると サインの終わった書類を渡され それを兵団の事務所に持って行くように言われた
一緒に団長室を出るとちょうど廊下を歩いていた女性団員が頭を下げたから私も頭を下げた
団長はその団員には応えず私を見ると
「じゃあ 頼んだぞ 行ってくる…」
「はい 行ってらっしゃいませ」
私が頭を下げると団長は背を向けて階段を降りていった
一緒に頭を下げていた団員が団長の姿が見えなくなると私をじっと見てくる
なんだろう…
「あなた縫製係よね?どうして団長室から出てきたの?なんで書類を持っているの?」
矢継ぎ早に質問が飛んできた…でも確かに気にはなるよね
「前は団長や幹部方の雑用係をしていたので…縫製係ですが団長室の掃除は今も私の仕事なんです 今日は今から外出されるそうなので書類の提出を頼まれました」
「ふーん…上手くやってるのね」
何だか嫌味を言われているのは分かった
また変な勘違いをされているなら迷惑なんだけど なんて言っていいのかも分からず言葉がでない私から目をそらすと
彼女は団長室を通りすぎて奥の階段を降りて行った