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【進撃の巨人】月と青い鳥

第9章 壁外調査 前日



。。。。。。。。。。


調理場から笑い声が聞こえてきた

1人はカナコだと分かるともう1人はおそらくイザベルだろう 甘い香りが漂う調理場へ顔を出す


「隊長だ!」
「あっ!フラゴンさんお疲れ様です」


普段はムスッとした顔が多いイザベルも俺の顔を見て笑った あの3人…ファーランは愛想笑いくらいはするが カナコと一緒にいる時は自然体でいい顔をしている

あのリヴァイですら 目元が優しくなる

初めて巨大樹の訓練場で見えないように手を繋いでいたのを見た時は自分の目を疑った


「カナコはリヴァイの宝物なんだよ」


エルヴィンの言葉を思い出してから なんとなく見ているとリヴァイはカナコを いつもいたわるように守るように触れていた



「いい匂いがするな ケーキか?」


「フィナンシェっていう焼菓子です 冷めた方が美味しいからもう少し熱がとれてから食べて下さいね」


紅茶 クランベリー ナッツの3種類のフィナンシェという焼菓子をカナコは紙ナプキンに包み渡してくれた

「ナッツの入ったのは俺が作ったぜ」

カナコの隣で笑うイザベルは可愛らしくて いつもそんな感じで居てくれれば うちの班ももう少しはまとまるんだがな…なんて思ってしまう


「ありがとう後でコーヒーと一緒にいただくよ」

「はい」

エプロン姿で顔や手に粉を付けたイザベルは調理場に戻り カナコは返事をして笑った



「ずいふん甘ったるい匂いさせてんな」


リヴァイの声が後ろから聞こえた 俺に並んで立つとチラリと手元にある紙ナプキンを見る


「カナコ…味見はしたのか?」


「まだしてないけど…大丈夫だよちゃんと見てたから」


「オイ…食べるならナッツから食べろ不味かったら捨てろよ
イザベルは料理が壊滅的にヘタだ カナコが見ていても信用はできない」


「聞こえたぞバカ兄貴!」


イザベルの大きな声が調理場から聞こえてくる 思わず吹き出して笑ってしまった


「では忠告通りナッツから食べるとするよ」


毒気を抜かれるな…カナコの笑顔と柔らかな声 に イザベルの笑顔

そう言えば初めてリヴァイから話かけてきたな…


ゴロツキだの人殺しだの影で言われているが 休日に甘い焼菓子を作る2人とそれを覗きにくるリヴァイ


ただの普通の家族じゃないか手の中の焼菓子が甘く香った気がした


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