第2章 出会いの季節
翌日、姫はガラス張りの部屋で目を覚ました。目の前に智久から託(ことづ)かって来た朝ごはんが置かれている。これから、士と朝ごはんを共にするようだ。姫は嬉しくなって、飛び起きようとするが近付いて来た士に制止されてしまう。「おい、傷に響くぞ」「すんませんした」この時、姫は士が本当に口が悪いんだと理解した。そうこうしている内に士が食えと姫に合図を送っている。姫は頷いて、士と朝ごはんを共にした。
今日の講義は、写真は撮る人、撮られる人、風景で変わる、同じ写真なんて撮れないという内容だった。終始、講師として授業しながら美奈子集団を警戒している士。その場の生徒はこの事に何の事か分からなかったがなんとなく理解していた。
講義が終わり、放課後。サークル活動に向かう為、士に指定された場所まで歩いて向かっていた。「やぁ、お姫様」突然、後ろから声を掛けられ姫は振り向く。後ろには誰もいない。怖くなった姫は、急いで士に指定された場所まで走る。銃声が聞こえた。鉄分の匂いがする。それでもお構い無しに士に指定された場所まで走った。「おい、姫P!」士が姫に声を掛ける。「士……君……」姫は今までの恐怖が雪崩れ込んで、士に抱き着く。「お、おい…姫Pとにかく、中に入れ」「うん…」中に入って、傷口の治療を受けながら事情を士に話した