第6章 素直 後編【※錆兎】
「あ…、やっ…、」
陽華が小さく声を上げる。
錆兎は優しくその実を吸い上げ、舌先で転がしていく。
「んっ…ぁん…、」
敏感な先端に、初めて感じる生暖かく、柔らかな湿った感触。指先では味わえない快感に、思わず唇から小さな声が漏れてしまい、陽華は恥ずかしさで、口元を慌てて抑えた。
その手を錆兎が掴む。
「…我慢するな。」
そう言い、陽華の口元に置かれた手を引き剥がす。
「小さくてもいい、聞かせてくれ。…お前が俺で、感じてくれてる声…、」
優しい瞳で見詰められ、甘く切ない声でそう囁かれると、陽華も観念して、小さく頷いた。
唇を噛みしめるように閉じると、手を下ろし、下敷きになっていた布地をぎゅっと、強く握りしめる。
その姿を確認すると、錆兎は視線を胸へと戻し、今度は先程まで可愛がっていた実とは違う方に顔を寄せた。
グッと果実を掴んだ手に力を入れると、ぷっくりとした乳輪が、さらにぷくっと膨れ上がり、錆兎はその輪郭をなぞるように、ゆっくりと舌先を滑らせていく。
「っ、んっ…、」
敏感な先端の実に触れぬよう、注意を払いながら、丁寧に舐めていく。
「錆兎……何してる…の?」
「お前のここ、先が固くなると、さらにぷっくり膨れるのな。……可愛いから、弄りたくなる。」
「やだっ…、でも…そこじゃ…、」
そこじゃなくて…、そう言いかけて、陽華は口を継ぐんだ。
今まで散々、触られることを拒否してきたのに、今更気持ちいいところを弄って欲しいだなんて、口が裂けても言えない。
(…でも、さっきみたいに、錆兎の舌で弄って欲しい……、)
本当に責めて欲しいところに、触れてもらえない焦れったさに、身体の芯が震えてくる。
錆兎は、陽華が何かに耐えるように震える姿を一頻り楽しむと、焦らすように周りをなぞっていた舌先を止めた。
そのまま、上目遣いに陽華の反応を確認しながら、そっと中央の実を、ペロッと舐めた。
「あぁんっ!」
突然与えられた強い刺激に、陽華が声を荒らげて、身体を大きく仰け反らせた。